法話。それは日々の暮らしを見つめるためのヒントです。
 どこのお寺でも、法要などの際に僧侶から個性あふれる法話を聞くことができる筈です。ここでは、そうした機会のない方のために、テキストやストリーミングデータによる法話をお届けします。

宗教書ナビゲータ

■世の中には様々な宗教書や宗教を扱った学術書、エッセイなどがあります。その中には、人間について深く考えさせてくれるものもあれば、ちょっと首を傾げたくなるものも。この書評が良書悪書を見分ける指針になれば幸いです。

【2001.11.25更新】
町にオウムがやってきた 藤岡オウム騒動を記録する会
信仰の理由 保阪正康
感情の科学 ランドルフ・R・コーネリアス
仏の教え ビーイング・ピース ティク・ナット・ハン
↑以上、更新分
深い河/「深い河」をさぐる
 遠藤周作
地獄は一定すみかぞかし 石和鷹
人はなぜ騙されるのか 安斎育郎
法輪功の正体 角間隆
インターネットの中の神々 生駒孝彰
宗教学講義 植島啓司
神話学講義 松村一男
予言がはずれるとき フェスティンガー他
法華経を生きる 石原慎太郎

【近日掲載予定】
『ドタンバの神だのみ』 サトウサンペイ
『<脱>宗教のすすめ』 竹内靖雄
『さまよえるキリスト教』 小坂井澄
『<狂い>と信仰』 町田宗鳳
『宗教をどう教えるか』 菅原伸郎
『「救い」の正体。』 別冊宝島編集部
『人はなぜエセ科学に騙されるのか』 カール・セーガン
『ほけきょう』 西村公朝
『死なう団事件』 保阪正康

妙稔上人法話集

■法華経寺住職・福頼妙稔上人の肉声による御法話をストリーミングデータでお送りします(マクロメディア・フラッシュVer.6以上のプラグインが必要です)。

【2002.05.03更新】
NEW!開宗七五〇年に寄せて(13分46秒)

電子説法一日一話

これまでの電子説法を読む

まぐまぐのシステムを利用してお送りする、無料メールマガジンによる法話です。

■その名のとおり発行頻度は原則として日刊。短く簡潔な、けれども人の心に深く思索を傾けた内容を心がけます。サンプルは下欄をご覧下さい。

平成十二年五月十六日に創刊しました。平成十五年六月七日現在で通番1000号を達成、発行部数(読者登録数)は814部です。

■日々の社会的事件を考える【時事随想】、経典や御書の一文を紹介する【聖なる言葉】、仏教の様々な概念を解説する【仏様の教え】など、いくつかのコーナーを日替わりで提供します。(平成十五年六月九日〜九月頃までは特別期間として、過去に他所で執筆した宗教的な小説やエッセイを隔日配信します)

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電 子 説 法 一 日 一 話

平成十二年六月十九日 通番0035号

提供:法華コム

<http://www.hokke.com/>

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 合掌 おはようございます。

【心の風景/「抱っこしてよ」】

 上の息子が二歳の頃、ひどい風邪を引いて熱を出した事がありました。子供というのはかなりの高熱でも見た目は元気なもので、その時も息子は割とケロリとしていましたが、当然早めに寝かしつけました。

 その深夜、急に激しく咳き込んで息子が目を覚ましました。妻は丁度トイレに立っていて姿が見えず、薄明かりの部屋の中で「よしよし、咳が出たねえ」と頭を撫でてやると、息子は涙目で私を見上げ「抱っこしてよ」と両手を差し出します。いわれるままに抱いてやると、彼は私の腕の中でそっと目を閉じ、おだやかに呼吸を始めました。

 咳の苦しみ、熱の苦しみ。物理的にそれを治すのは薬の力です。けれど幼子にとって、苦しみを癒してくれるのはまず親の包容だったのでしょう。

 ひとつの光景を思い出します。私が小学校の五年生くらいのことだったでしょうか、外で遊んでいる時に年上の友人にいじめられ、その時は「ちぇっ」というくらいの、さほど深刻ではない気持ちで帰宅しました。けれど、台所で父と母の顔をみた途端、私はぼろぼろと涙をこぼして大声で泣き出したのです。自分で自分の反応が理解できませんでした。いじめられたことで泣いているのだという自覚はあったけれど、ついさっきまで、その事がこんなにも悲しいとは思っていなかったのですから。何で自分は泣いているんだろう、どうして自分はさっきまでと違う気持ちでいるんだろう。その答えはその時には見つかりませんでした。

 今は分かります。私は、私を愛してくれる人を前にしたから、泣くことができたのです。無意識のうちに自分で自分に禁じていた、涙をこぼすことを、私の全てを受け入れてくれると信じる人の前で許すことができたのです。

 人は成長する中で、いろいろな文化的制約を身に纏います。甘えることは恥ずかしい、自分の弱さを認めるのは恥ずかしい。そうした自意識が、社会人としての自立的/自律的人格を形作る一方で、自分の内面にいろいろな無理を強いることも事実です。その無理を自覚できないまま心の圧力に耐えきれなくなった時、人は他者に対して攻撃的になります。他人の振る舞いに寛容でなく、自分の振る舞いも許せなくなるか逆に「自分は理想的な人間だ」と傲慢な思いこみに至るかして、人は荒んだ対人関係の中に落ち込んでいくのです。

 幼児期に自分を育んでくれた親という存在とは、時には死別により、時には感情的確執により、次第に疎遠になっていきます。恋人と出会い、夫婦として共に人生を送ることになり、そして今度は自分が親として幼子に向かう時──その時にようやく、人は家族という場を、自分の弱さを弱さとして認めてくれる場を取り戻す可能性に至るのでしょう。

 家族に与える愛情は、自分自身が愛された経験と、自分自身が愛されたい苦しみの自覚に支えられて、惜しみないものとなります。愛することと愛されることは、心理的な働きとしては、実はひとつのものなのだと私は思います。

 そうした人間の普遍的経験こそが、神仏への信仰を根本的に可能にするものだ……とするのは突飛な考えでしょうか? 大人になっても、それこそ八十歳九十歳になっても、幼子のように「抱っこしてよ」と自分の弱さを丸ごと受け止めてもらうことが信仰だとするのは、おかしな考えでしょうか?

 でも、私は、それが宗教と信仰の根本だと思うのです。

 今日も良い一日でありますように。 再拝

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■電子説法一日一話 平成十二年六月十九日 通番0035号
■発行責任者 :福頼宏隆(法華コム)
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