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トンデモ本関連でその名を広めたであろうジャパン・スケプティクス会長・安斎育郎の本です。多分初読み。 内容は、超能力・霊能力といわれるものが科学的に「嘘だ」ということと、その背景にある科学の物の見方や考え方に関するショートエッセイ集です。予想通りというか予想以上というかは微妙ですが、面白いものでした。 ただ惜しむらくは……これもまた予想通りなのですが……「科学的に捉えるべきところと価値判断をすべきところを峻別すべき」という納得のいく著者の主張にも関わらず、科学的事実とは異なる「幻想」の価値をどう捉えるかという点でネガティブな偏狭さが見え隠れしています。その根本にあるものは、解説の松尾貴史がいう「実は、『この現象は起こりうるかどうか』『科学的に観てどうか』ではなく、『なぜ騙されるのか』『なぜ信じたいのか』という問題のほうが、私達にとって大きな問題なのかもしれません」(251頁)というこれまたまっとうな見解に即していうならば、「科学を信じたい気持ち」もあるのだという相対化がなされていない点でしょう。そう、迷信を信じる人に著者らが感じているであろう違和感と同じものを著者自身に感じるのです。 人間は、物理的事実をすら情緒的真実として受け取っています。非合理的な宗教に対する信仰を守ろうと頑なになる気持ちと合理的な科学を声高に主張する気持ちは「人間の存在の仕方」として等価なのだということを知ることで、はじめて「幻想」の正体が見極められるのですが、なかなかねえ。 (初出:F式ワンダーランド! 1998年12月) |