『宗教学講義』

植島啓司

ちくま新書


 笹沢豊先生による『小説・倫理学』は小ヒットを飛ばしたようで、朝日の書評委員になるなど急にお顔を見かけることが多くなりました。その2匹目のドジョウを狙ったわけでもないのでしょうが、植島先生による『宗教学講義』、こちらは戯曲形式となっています。謎を残した幾分シュールな作りは彼の芸術嗜好の反映でしょうか。

 宗教とは何かに始まって、洗脳とマインドコントロールの違いを示したかと思えば文学を論じ、植島先生自身の学生のものであるらしい赤裸々な性的告白レポートを引用したりタブーの不思議な根拠を示唆したりと、さすがに多彩な内容で宗教学の扱う領域をカバーしています。近年のTV番組を取り上げるなど、素材が身近なのがいいですね。私も見ていて、当時NIFTYの現代思想フォーラムで特別会議室を設置してもらって議論した「朝まで生テレビ」の宗教特集が取り上げられていたのも嬉しい驚きでした。出演していた島田先生の意見を「ほぼ全面的に正しい」と評していたのがちょっと意外。

(初出:F式ワンダーランド! 1998年12月)

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